2017年 07月 月及：緑が見える

Photo : nuh

nuhの白黒補正写真には、心地よい深みがある。絶妙に調整された明部と暗部、そしてその白黒写真には「インパクトのないインパクト」が存在している。

彼は常に自分の能力に疑念を抱いており、私はその謙遜をからかうことが多かった。ある日、彼の写真をチェックしていると、淡い緑が見える写真を発見した。緑は特定の木々に微かに見えたが、彼はそうしたトリックを使わない。ソフトで確認しても白黒のままだった。これは彼が撮影した驚くほど良い白黒写真だった。

白黒写真の錯覚は何種類かある。最も一般的なのは、よく知られた自然の素材と感性的な構図の写真を数秒見つめると、目を閉じたときに色が浮かび上がる現象。もう一つは、目を閉じなくても微妙な錯覚を起こす写真で、この写真がその代表例だ。名暗部が絶妙に調整された写真で、心の中で色として認識してしまう錯覚だ。

大きく印刷すると、この錯覚はさらに強まった。もし「そんなものは見えない」と言う人がいても、少なくとも私はこの写真に驚かされた。それは記憶に残る素晴らしい一枚だった。

私は、この錯覚を起こした白黒写真を撮影し、補正したnuhに感謝し、これからも良い写真を見守り続けるだろう。

写真：nuh / 文章：Alex Yu